自由が丘の歯医者コラム
自由が丘の歯医者コラム
西堀歯科の勉強会では、歯周病の臨床治療を科学的に学んでいきます。
まずは、歯周組織の解剖から始まります。
歯周組織の解剖
歯周疾患の疫学
歯周疾患の細菌学
歯周疾患における宿主防御機構
全身疾患と歯周疾患
様々な歯周疾患の病態
Endo-Perio病変
咬合性外傷
歯周疾患患者の診査と診断
治療計画
原因除去歯周治療
歯周治療における消毒剤と抗菌材の応用
歯周外科
歯肉歯槽粘膜治療
再生治療
根分岐部病変の治療
咬合治療
矯正治療による歯周治療
歯周治療とインプラント治療
インプラント合併症とインプラント周囲炎
こうして並べてみると、かなり広い範囲です。
これらを、英語論文の抄読と症例検討会を通じて、毎週ひとつずつ、じっくりと学んでいきます。
論文を読み、症例を検討し、また論文に戻る。
その繰り返しです。
「塵も積もれば山となる」と言いますが、11年間続けているうちに、私が読んだ英語論文の数は、1000本を超す数にまでなっていました。
しかしながら、たくさんの論文を読み、実際の臨床で患者さんを診て、うまくいった症例だけではなく、うまくいかなかった症例も振り返っていると、少しずつ見えてくるものがありました。
それは、歯科治療において本当に大切なのは、単に「歯を作ること」でも、「インプラントを入れること」でもない、ということです。
私は、噛み合わせ(咬合)の回復というものを、家づくりにたとえて考えるようになりました。
口の中は、決して穏やかな環境ではありません。
唾液という「雨」が降り続け、食べ物という「風」が吹き、さらに歯ぎしりや食いしばりという「地震」まで起こります。
そんな過酷な環境の中で、長く壊れない「屋根」を作る。
それが、歯科治療における咬合の回復なのではないかと思うのです。
そう考えてみると、インプラントは、あくまでもその家を作るための土台の選択肢の一つに過ぎません。
使える自分の歯があれば、それを土台として使えばいい。
わざわざインプラントにする必要はありません。
むしろ、長い目で見れば、インプラントを土台にしたことで、破損や修理、いわば「リフォーム」に追われることだってあります。
では、長く機能する家を作るためには、何が必要なのでしょうか。
まず、その土地がどんな状態なのかを調べること。
つまり、診査と診断です。
そのうえで、自分が持っている知識や経験をもとに設計図を描く。
治療計画です。
そして、実際に家を建てる前に、しっかりとした基礎工事をする。
歯科で言えば、
歯内治療、歯周治療、矯正治療、そして咬合治療。
こうした基礎をきちんと整えたうえで、初めて、その患者さんに適した材料を選ぶ。
ブリッジなのか。
入れ歯なのか。
それともインプラントなのか。
つまり、インプラントありきではなく、その患者さんのお口にとって、どの材料が最も適しているのかを考えるということです。
返す返すも、歯科インプラントは治療の「目的」ではありません。
あくまでも、数ある治療オプションの一つなのです。
そして、この考え方は、実はこの時に初めて生まれたものではありません。
1994年、UCLA Advanced Partial Prosthodontics講座で局部補綴学を学んだときから、私の中では一貫している考え方でした。
インプラントを学べば学ぶほど、私はインプラントだけでは歯科治療は完結しないことを知るようになりました。
そして、そのことを理解するために、私は歯周病をさらに深く学ぶ必要があったのです。
その答えを探すための長い年月が、ここから再び始まったのでした。