インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲に炎症が起こり、 周囲の骨が徐々に失われていく疾患です。自覚症状が乏しいまま進行することも多く、 早期発見と適切な管理がとても重要です。
インプラント周囲炎は、さまざまな要因が複合して発症します。代表的な要因として、以下が知られています。
- インプラントデザイン上の問題
- 骨に適さないインプラントサイズの選択
- インプラントの埋入深さが適切でない
- 上部構造(被せ物)の形態不良
- 接着剤(セメント)の選択ミスや取り残し
- 誤った咬合付与(噛み合わせ調整の不備)
- 適応症例・禁忌症例の見極めが不十分
これら以外にも骨欠損を生じるケースはありますが、特に 接着剤(セメント)の取り残しは近年重要視されているリスク因子の一つです。 炎症は気づかないうちに進行し、天然歯の歯周病より早く悪化する場合もあります。 インプラント周囲に違和感を覚えた場合は、インプラント周囲炎治療に対応した歯周病専門医の受診をおすすめします。
当院では、毎週金曜日に American Board of Periodontology の Member である西堀雅一先生の院内勉強会に参加し、最新の知見を共有しています。
Interdisciplinary Study Club Tokyo 西堀歯科勉強会
2013年6月21日は、インプラントの埋入深さと接着剤残留について検証した臨床研究を抄読しました。
この研究では、インプラント周囲炎の大きな原因である"接着剤の取り残し"に注目し、 53名の患者を対象に「埋入深さ」と「清掃のしやすさ」の関係を調査しました。
結論:埋入が深くなるほど接着剤の除去が難しくなり、取り残し量は増加します。さらに、残留した接着剤はレントゲンに写らないため、確認が困難であると注意喚起していました。

特に前歯のインプラント治療では、審美性向上のために深く埋める必要が生じることがあります。 しかし埋入深度が深くなることで、ネジ穴が目立つためセメント合着が必要になる → 接着剤が残りやすい → 時間経過で周囲炎を発症という流れが起こり得ます。
昨年の Akimoto 先生によるインプラント周囲炎の実状と原因でも、この接着剤残留リスクが強調されました。 インプラントの選択や埋入位置、周囲炎を防ぐための治療技術など、科学的根拠に基づいた予防策が議論されました。
目黒区・世田谷区・大田区・東急東横線・大井町線・田園都市線沿線で インプラント周囲の炎症にお悩みの方は、 自由が丘駅徒歩3分の歯周病専門医へお気軽にご相談ください。



