おはようございます。自由が丘・田川歯科医院です。
乾燥した寒い日が続き、体調を崩しやすい時期ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
実は私自身、年末年始は院内改良工事や移転準備に追われ、風邪をひいてしまいましたが、ようやく回復し、本日よりブログを再開いたします。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、1月8日(日)は診療をお休みし、六本木ヒルズ49階アカデミーヒルズで開催された「米国歯科大学院同窓会 公開セミナー」を聴講してきました。
この会は、アメリカのみならずヨーロッパで研修された先生方も参加される学術集会で、毎年テーマを変えて専門家による症例発表とディスカッションが行われます。一般の歯科医師も参加可能な公開形式のセミナーです。
今年のテーマは「インプラントの失敗に学ぶ」。
以前は「インプラントは半永久的」と言われていた時代もありましたが、近年の欧米の報告では、咬合トラブル、インプラント体の破損、インプラント周囲炎など、多様な問題が一定の年数を境に発生することが明らかになっています。
同窓会の演者の先生方は、欧米の歯科大学院で骨結合型インプラントの基礎から臨床まで学び、帰国後も長期間にわたり実践されてきた方々です。その膨大なデータから導かれた結論も共通していました。
「長期経過を分析すると、特定の種類のインプラントは一定期間を過ぎるとトラブルが起きやすい傾向がある」──これは大きな示唆でした。
そのため、インプラント治療では次の2点がとても重要になります。
- インプラント治療が本当に適応かどうか、総合的かつ正確な診断を行うこと。
- トラブルが起きても修理・やり直しが可能な「リトリーバブルな設計」を採用すること。
特に診断の重要性は繰り返し強調されており、骨量だけでなく、
- 生活習慣
- 咬み合わせ
- 歯列・歯肉の状態
- 喫煙などの嗜好
- 医科・歯科の既往
これらを総合的に評価する必要があります。
これは単なる埋入経験ではなく、患者さんと長年向き合い、治療予後を追ってきた臨床経験が大きくものを言う部分です。
また、インプラントの上部構造は壊れやすいため、修理しやすい構造で設計することも不可欠です。
インプラントメーカーの違いや構造によってもトラブル傾向が異なることが判明しており、このあたりの詳細は別の機会に改めて書かせていただきます。
さらに、インプラント周囲炎など、生体への影響も軽視できません。
そのため、術者・患者さんともに、インプラント治療を選択する際は慎重な判断が求められます。
今年も自由が丘・田川歯科医院では、インプラントや歯周病に関する最新のエビデンスを、グローバルな視点からわかりやすく発信してまいります。



