インプラント治療が広く行われるようになった現在、治療後の歯肉や骨の健康をどのように保つかが、ますます重要になっています。 その中でも、インプラント周囲に炎症や骨の変化が起こる「インプラント周囲炎」は、長期管理において注意すべき病態のひとつです。
インプラント周囲炎は、ケースによって進行の仕方や骨の欠損の形態が異なるため、治療方法も一様ではありません。骨が大きく失われている場合には、状況に応じて「再生治療」が選択肢に挙げられることがあります。
2012年6月15日には、インプラント周囲炎に対して再生療法を行った症例を長期的に観察した論文を抄読しました。治療後の経過に関する科学的なデータが示されており、臨床における判断材料として非常に興味深い内容でした。
私は毎週金曜日、American Board of Periodontology(米国歯周病専門医)の資格を持つ西堀雅一先生が主宰する院内勉強会に参加しています。
Interdisciplinary Study Club Tokyo 西堀歯科勉強会
Successful management of peri-implantitis with a regenerative approach: a consecutive series of 51 treated implants with 3- to 7.5-year follow-up. Int J Periodontics Restorative Dent. 2012
この論文では、38名の患者さん・51箇所のインプラント周囲炎に対して再生療法を行い、3〜7.5年にわたって経過観察を行った報告がまとめられています。
プロービング深さや骨レベルの変化が示されており、治療後の改善傾向がみられた症例もあったことが紹介されていました。ただし、すべての症例に同じ結果が得られるわけではなく、病態やインプラントの種類、骨欠損の形態などによって治療選択は慎重に検討される必要があります。
また、著者らによると「除去後に再埋入した場合の経過が必ずしも良好ではなかった」とする報告もあり、状況によっては再生療法が検討されるという見解も述べられていました。 これらは海外の臨床報告であり、個々のケースにそのまま当てはまるものではありませんが、治療選択の参考として有益な内容でした。
インプラント周囲炎の治療は、炎症の原因や骨の状態によって必要な処置が大きく変わります。また、再生療法が適応となるかどうかも、専門的な判断が求められる部分です。
自由が丘の田川歯科では、科学的根拠(EBD)に基づいた診査・診断を行い、患者さんのお口の状態に合わせた治療方法をご提案しております。インプラント周囲炎でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
目黒区・世田谷区・大田区、東急東横線/大井町線沿線などからも通いやすく、自由が丘駅から徒歩3分の場所にあります。



