インプラント治療に関するお問い合わせをいつもありがとうございます。本記事では、 インプラント周囲骨の変化に関して近年注目されている学説を、抄読会で扱った論文をもとにわかりやすく解説します。 ※本記事は一般向け情報であり、診断・治療の判断には個別の歯科医師の診査が必要です。
繊細なインプラント治療を行うためには、骨と歯肉のマネジメントが不可欠です。そのため欧米では、インプラント埋入を歯周病専門医が担当するケースが多いことが知られています。
一方で日本では、学会によっては専門医制度が形骸化し「専門医」「認定医」の質が均一ではないとの指摘もあります。治療を受ける際には、審査基準が厳格な 日本歯周病学会認定「歯周病専門医」 の中から担当医を選ぶことが、望ましい結果につながりやすいと感じています。
今年2回目の論文抄読当番では、インプラント周囲骨の概念を揺るがす重要なレビュー論文を扱いましたので、その内容を共有します。
ISCT(西堀歯科勉強会)での抄読
毎週金曜日は、American Board of PeriodontologyのMemberである西堀雅一先生が主宰する院内勉強会にて学んでいます。
今回扱った論文:インプラント周囲骨への新しい視点
2015年3月6日の抄読会では、インプラント研究の世界的権威が発表した以下の論文を読みました。
Is Marginal Bone Loss around Oral Implants the Result of a Provoked Foreign Body Reaction?
Clinical Implant Dentistry and Related Research(CIDRR)2014
スウェーデン・Göteborg(イエテボリ)大学では1962年に「骨とチタンの結合(Osseointegration)」が発見され、それ以降のインプラント臨床の基礎概念となってきました。
ところが、そのイエテボリ大学の研究者自身が、従来の"骨結合"に対する常識を見直す重要なレビューを発表し、米国歯周病学会でも大きな話題となりました。
以下は抄読会で使用したスライドの一部です。













論文から読み取れるポイント
論文のまとめでは、次のような見解が示されていました。
- インプラントと骨の界面は非常に繊細なバランスで維持されている
- わずかな刺激や外的要因で負の方向へ変化する可能性がある
- 熟練した術者では炎症や骨吸収のリスクを最小化できる
- 実際にインプラント治療を受けた患者の約20%が周囲炎を発症したという報告もある
専門医のプロトコルに忠実に行われているイエテボリ大学の治療でさえ、周囲炎が一定数生じたという事実は、慎重な術者選択の重要性を物語っています。
日本におけるインプラント治療の現状を考えると、誰もが埋入を行う状況には課題も多く、治療前にしっかり検討することをおすすめします。
最後に:インプラント治療を検討されている方へ
インプラント治療を受ける際には、担当医の専門性・経験・治療プロトコルが結果に大きく影響します。疑問がある場合は遠慮なくご相談ください。
目黒区・世田谷区・大田区、東横線・大井町線・田園都市線沿線で インプラント治療 や 歯を残す治療 を検討されている方は、自由が丘駅から徒歩3分の歯周病専門医までお気軽にご相談ください。



