「インプラントは虫歯にならないので、天然歯より強いのでは?」
最近、患者さんからこのようなご質問を受けることがあります。
確かに、チタンでできているインプラント自体は虫歯にはなりません。しかし、インプラントは骨に直接埋入するため、周囲の歯肉や骨には炎症が起こりやすいという特徴があります。
この炎症を「インプラント周囲炎」と呼び、歯周病学分野でも近年とても重要視されている疾患です。
インプラント周囲炎には多くのリスク因子が関与しており、これらを深く理解したうえで治療を行う歯科医師は、国内外を含めてもまだ多くありません。いまだ研究が進んでいる分野であり、エビデンスの蓄積が求められています。

2012年5月31日、シアトルで開業されている Ken Akimoto 先生による「インプラント周囲炎の実際と対応方法」に関するクローズドセミナーが、ISCTにて開催されました。
Interdisciplinary Study Club Tokyo 西堀歯科勉強会
講演の中では、2009年に Dr. Wilson が報告したインプラント周囲炎の重要なリスク因子を中心に、アメリカで実際に起きている周囲炎症例やその背景、対応方法について詳細にご紹介いただきました。
Akimoto 先生もお話しされていましたが、歯周病専門医が担当する症例では適切な診査・治療計画・咬合管理が行われるため、周囲炎の深刻なトラブルを経験する機会は多くありません。そのため、Akimoto 先生が収集された貴重な臨床資料を見ることができたのは大変ありがたい経験でした。
ISCTの勉強会でも2004年からインプラント関連の文献を継続して抄読してきましたが、今回の講演では、実際の海外症例から得られる示唆が非常に多く、臨床的な学びが大きい内容でした。
炎症が起こる原因とその時の対応を明確に学ぶことができ、歯周病専門医として視野がさらに広がったように感じます。
Ken Akimoto 先生、貴重なお話を本当にありがとうございました。



