歯周病専門医は、歯をできるだけ長く残すことを最優先に考えています。特に被せ物(差し歯)治療では、歯根に過度な負担がかからないよう、材料の選択や設計を慎重に行うことが欠かせません。
診療の中では、過去の治療が原因となり歯周病の悪化につながる「医原性の歯周病」に遭遇することがあります。なかでも、神経を取った歯(失活歯)に行われた差し歯治療は、方法によっては 歯根破折のリスクを高める ことが知られています。
これは、研究により ポスト(支柱)やコアの使用が歯を必ずしも補強するわけではなく、状況によって歯を弱くしてしまう可能性がある ことが示されているためです。また、神経を失った歯は栄養供給がなくなることで、経年的に脆くなることも報告されています。
そのため歯周病専門医が補綴治療(差し歯治療)を行う際には、歯根破折を防ぐための材料選択・設計・咬み合わせ調整 を総合的に判断することが重要となります。
当院では、American Board of Periodontology のメンバーである西堀雅一先生による院内勉強会(毎週金曜日開催)に参加し、最新の歯周治療・補綴治療の知見を継続的に学んでいます。
Interdisciplinary Study Club Tokyo 西堀歯科勉強会

論文から読み解く「歯を守る補綴設計」
2012年7月6日の勉強会では、神経を失った歯に対するポスト補強の方法に関する過去の研究をもとにディスカッションを行いました。
A systematic review of dowel (post) and core materials and systems.
J Prothodont, 2009
Three-dimensional FEA of effects of two dowel-and-core approaches and effects of canal flaring on stress distribution in endodontically treated teeth.
J Prothodont, 2011
これらの研究では、歯の内部でどのように力が伝わるか、材料の性質が応力分布にどのように影響するかが検討されています。歯根破折を防ぐためには、材料選択と力のコントロールが極めて重要である ことが改めて確認できる内容でした。
日常の臨床にどのように活かすか
学んだ知見は、日々の診療に直結しています。患者さま一人ひとりの歯の状態を丁寧に評価し、可能な限り歯を守るための治療計画をご提案することを心がけています。
目黒区・世田谷区・大田区、東横線・大井町線・田園都市線沿線にお住まいで、歯周病や差し歯のトラブルが気になる方は、自由が丘駅から徒歩3分の歯周病専門医までお気軽にご相談ください。



