自由が丘の歯医者ブログ

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インプラント治療の10年予後について2014.10.29

「インプラント治療は一生もの」という言葉を耳にすることがあります。しかし、実際の臨床経過を考えると、必ずしもそうとは限りません。
当院(自由が丘・田川歯科)はインプラント周囲炎にも対応できる歯周病専門医として、関東近県からさまざまなインプラントトラブルのご相談をいただいております。そのため、実に多様なケースに触れる機会があります。
私自身はUCLA補綴学講座でブローネンマルクインプラントを学び、臨床導入してから20年以上が経過しました。その間、多くの症例を経過観察してきましたが、経年的な変化やトラブルを考慮すると、インプラント治療を「完全な一生もの」と考えることは適切ではないと感じています。
一般的に、術後しばらくは問題がなくても、5年を超えたあたりから徐々にトラブルが出始めるという報告が国内外の文献で複数示されています。

参加している勉強会と発表内容

毎週金曜日には、American Board of PeriodontologyのMemberである 西堀 雅一先生の院内勉強会に参加し、最新の歯周治療・インプラント治療について学んでおります。
Interdisciplinary Study Club Tokyo(西堀歯科勉強会)
2014年10月24日は、ヨーロッパ歯周病学会(2012年)で報告されたデータをもとに、 インプラント術後トラブルが「いつ・どのように」起こるのかについて、 当院の長期症例と比較しつつ臨床報告を行いました。

5年以降に増えてくるトラブルの傾向

複数の文献では、術後5年を過ぎる頃からインプラント周囲にトラブルが出現し始めると記載されています。同様の傾向は、私がこれまで追跡してきた症例でも観察されています。

主に起こりやすいトラブルは3つ

  • 上部構造(インプラントの上の歯)のトラブル
  • 内部構造(スクリューなど)に関連するトラブル
  • インプラント周囲の炎症(インプラント周囲炎)
実際の臨床データをもとに、治療デザインやメーカーごとの傾向を分析し、 特に専門分野であるインプラント周囲炎の原因と対処法についてレビューしました。

インプラント治療を検討される方へ

インプラント周囲炎は、術前の診断や設計、埋入位置、メインテナンスの質など、複数の要因が影響します。また、被せ物などの上部構造やスクリュー関連のトラブルは多くのメーカーで報告されていますが、製品や部品供給が長期に安定しているメーカーであれば、もしもの場合にでも対応がスムーズになる傾向があります。
そのため、症例数が多く、長期経過を管理してきた経験のある歯科医師を選ぶこと、そして不具合が起きた際の対応方法まで含めた十分な治療説明を受けることが大切です。
当院にご相談にいらっしゃる患者さんのお話を伺っている限りでは、「安くて完璧」という治療はインプラントに限らず存在しないというのが実感です。治療の質や安全性を第一に考え、納得のうえで治療に進まれることをおすすめします。

目黒区・世田谷区・大田区、東横線・大井町線・田園都市線沿線でインプラントや歯周病治療をご検討の方は、自由が丘駅徒歩3分の歯周病専門医までお気軽にご相談ください。

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