田川歯科のブログでは、科学的根拠(エビデンス)に基づく歯科情報を、専門的内容を噛み砕いて分かりやすくお伝えすることを大前提としています。
学術論文を一般の方に理解しやすい形へ翻訳する作業は簡単ではありませんが、おかげさまで「内容が分かりやすい」「難しい歯科の話を理解できた」など、多くの患者さんから嬉しいお言葉をいただいています。
さて今回は、自由が丘に移転して以降もっとも多いご相談である"抜歯の判断"についてお話しします。
「別の歯医者で歯周病が進行していると言われ、歯を抜いてインプラントにと言われました。でも痛くもなく普通に噛めるのに、本当に抜くしかないのですか?」
このような"抜歯宣告"に対するセカンドオピニオンのご相談が案外と多いエリアです。
ちなみに2番目は「痛みもないのに神経を抜くと言われた」、3番目は「咬み合わせ治療が必要と言われ健康な歯を削られそうになった」というご相談です。
今回はその中でも、歯周病における抜歯判断基準についてお伝えします。

歯周病専門医が行う「歯を残すための治療」とは
歯周病専門医は、進行した歯周病であっても可能な限り歯を保存する技術を持っています。そのため、当院でもまずは歯を残すための治療を優先します。
しかし、治療を試みても歯の周囲組織(歯ぐき・骨など)の機能が大きく失われてしまった場合には、残念ながら抜歯を検討せざるを得ません。
歯周病の抜歯判断は昔から議論され続けている
歯周病治療後に周囲組織がどこまで安定するか、また予後(治療後の状態)がどうなるかという点は、古くから議論され多くの研究が行われています。
Prognosis versus actual outcome: a long-term survey of 100 treated periodontal patients under maintenance care. (J Periodontol 1991)
近年はインプラント治療の普及に伴い、治療戦略として歯を早期に抜く「戦略的抜歯」という考えも提唱されています。
Strategic extraction: a paradigm shift that is changing our profession. (J Periodontol 2008)
しかし、これらの論文には根拠が十分でないものも多く、抜歯の判断はどうしても歯科医師の技量・治療方針によって左右されるのが現実です。
田川歯科の抜歯判断方針
当院では以下の流れで治療を行います:
- まずは歯を残す治療を全力で行う
- 治療結果をシンプルかつ丁寧に説明する
- 最終的な抜歯の判断は患者さんに委ねる
病状説明、診断基準、治療後の予測(予後)についても分かりやすくお伝えし、患者さんに納得して治療を選択していただくことが最も大切だと考えています。
これこそが、当院が考える理想的なインフォームド・コンセントであり、患者さんの価値観を尊重した治療につながると確信しています。
目黒区・世田谷区・大田区、東横線・大井町線・田園都市線沿線で、抜歯の宣告を受けてお悩みの方は、自由が丘駅から徒歩3分の歯周病専門医へお気軽にご相談ください。



