インプラント治療を計画する際、歯周病専門医は患者さんの歯周病の病歴やリスクを十分に考慮しながら治療計画を立案します。そのため、専門分野の異なる歯科医師同士では、インプラントの考え方やアプローチに違いが生じる場合があります。
院内勉強会での症例ディスカッション
当院では毎週金曜日、American Board of PeriodontologyのMemberである 西堀 雅一先生の院内勉強会に参加し、さまざまな症例から治療計画の視点を学んでいます。
Interdisciplinary Study Club Tokyo 西堀歯科勉強会
2011年5月13日の勉強会では、大田区でご開業の服部先生による症例発表が行われました。服部先生は入れ歯治療を得意とされており、 入れ歯の設計に基づいたインプラント配置を重視されています。
咬み合わせの長期的な安定を図るため、インプラントを咬合支持の「支柱」としてどのように配置するかを重視されていた点が印象的でした。
歯周病専門医のインプラント治療の考え方
一方で西堀先生は、歯周病治療の流れの中にインプラント治療を位置づけるアプローチを取られています。
そのためインプラントの配置設計では、
- 歯周病の既往と再発リスクを踏まえた上で、
- 残存歯とインプラント双方が過度な負担や細菌の影響を受けないように、
慎重に治療計画を組み立てていく点が特徴です。
インプラント治療で確認する主なポイント
- インプラント埋入部位の骨の状態
(歯周病の影響で骨が大きくダメージを受けている場合があります) - 口腔衛生状態
(長期的なインプラントの安定には日々の清掃が不可欠です) - 患者さん固有の咬み合わせの特徴
(歯周病で歯を失いやすい方は、咬合力が強い傾向があります)
また、多数のインプラントを埋入すると術後管理も難しくなるため、必要最小限の治療介入で最大の効果を得る配置が重要であると説明されていました。
インプラント治療は「術者の経験と思考」で大きく変わる
インプラント治療は同じ「治療名」であっても、術者の経験や治療哲学によりアプローチが大きく異なります。
勉強会での両先生の対話を通じ、インプラントを長期間機能させるためには、治療開始前の見極めが極めて重要であることを再認識しました。
歯周病の既往がある方、インプラント治療をご検討中の方は、ぜひ専門医に一度ご相談ください。



