歯を抜いたあとの顎の骨は、時間の経過とともに自然に吸収していく特徴があります。 この「抜歯後の骨吸収」は、ブリッジ・インプラント・入れ歯といった さまざまな治療に影響を与えます。
骨量が減少すると、ブリッジでは歯ぐきに影ができやすくなり、 インプラントでは理想的な位置に埋入できないケースが増えます。 また入れ歯の場合は顎堤のやせによって安定性が悪くなることがあります。

歯周病学の分野では、長年にわたり抜歯後の骨変化や骨の再生に関する研究が行われ、 その成果は臨床にも応用されています。
当院では毎週金曜日に、American Board of Periodontology の Member である 西堀雅一先生の院内勉強会へ参加し、最新の研究知見を共有しています。
Interdisciplinary Study Club Tokyo 西堀歯科勉強会
2013年7月19日は、抜歯後即時インプラント埋入における骨変化を比較した研究を抄読しました。
以前の研究では、「抜歯後すぐにインプラントを埋入すると骨吸収を抑えられる」と考えられていました。 しかしこの臨床研究では、即時埋入を行っても顎の幅(頬舌幅)は大きく減少することが確認されました。 特に頬側の骨吸収量は口蓋側の約2倍と報告されています。
そのため、特に審美性が重要な前歯部では、 時間が経つとインプラントの金属部分(ネジ山)が露出してしまう可能性があり、 治療計画には慎重な判断が求められます。
この結果は、2004年の Hammel らの研究とも一致しており、 さらに近遠心方向の骨高さも 2003年 Schropp らの報告と同様に、 時間の経過で減少していく可能性が示されています。
「抜歯後すぐにインプラントを埋入すれば骨の変化を抑えられる」という 2004年 Chen らの見解は、その後の研究蓄積によって再検討されつつあります。
抜歯後の骨の温存には限界があるため、 骨の生理的変化を理解した上で、インプラントの種類・埋入位置・補助手技を 適切に選択する治療計画が重要になっています。
これらの知見は、西堀先生が 2000 年頃から繰り返し提唱されていた内容とも一致し、 当日の勉強会では、使用すべきインプラントや術式の再確認を行いました。
目黒区・世田谷区・大田区・東横線・大井町線・田園都市線沿線で インプラント治療に不安がある方や、抜歯後の骨吸収が心配な方は、 自由が丘駅徒歩3分の歯周病専門医へお気軽にご相談ください。



