自由が丘の歯医者ブログ

BLOG

歯のクリーニングと循環器疾患の関連性について:歯周病専門医が解説2013.04.10

我が国の主な死因として、悪性腫瘍が最も多く、続いて心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患が上位を占めています。

近年、いくつかの横断研究において、歯周病と循環器疾患との間に何らかの関連が示唆される報告があることをご存じでしょうか。

ただし、歯周炎が循環器疾患に直接関与しているのか、あるいはその逆なのかといった因果関係については明確には解明されておらず、一般的な医療情報として確立されているものではありません。

アメリカ歯周病学会(AAP)でも「歯周炎による炎症が何らかの関連を持つ可能性がある」という見解に留めており、明確な因果関係については示されていません。

The American Journal of Cardiology and Journal of PeriodontologyEditors' Consensus: Periodontitis and Atherosclerotic Cardiovascular Disease

また、医科領域でも、2012年にアメリカ心臓病学会(AHA)が「歯周炎とアテローム硬化性心臓疾患との間に明確なエビデンスは確認されていない」とする声明を発表しています。

Periodontal Disease and Atherosclerotic Vascular Disease: Does the Evidence Support an Independent Association?: A Scientific Statement From the American Heart Association

ところが、このAHA声明の約2か月後に、The American Journal of Medicine に掲載された研究報告では、歯石除去を含む歯のクリーニングを受けた患者集団を7年間追跡したところ、急性心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患の発症リスクが減少したと報告されています。また、クリーニングの受診回数が多い患者ほど、この傾向がより明確だったとされています。

The association of tooth scaling and decreased cardiovascular disease

この研究は台湾で行われたもので、我々歯周病専門医の間でも大きな話題となりました。人種により研究結果が異なることもありますが、類似した傾向が示される可能性も指摘されています。

American Board of Periodontology(米国歯周病専門医)のMemberである西堀雅一先生が主催する院内勉強会では、これらに関連する研究論文の抄読を行っています。

Interdisciplinary Study Club Tokyo 西堀歯科勉強会

2013年4月5日の勉強会では、この歯のクリーニングと循環器疾患の関連についてまとめられた論文の抄読を私が担当し、以下のスライドを用いて内容を共有しました(スライドはイメージ画像として掲載しています)。

勉強会スライドのイメージ写真 1
勉強会スライドのイメージ写真 2
勉強会スライドのイメージ写真 3
勉強会スライドのイメージ写真 4
勉強会スライドのイメージ写真 8
勉強会スライドのイメージ写真 10
勉強会スライドのイメージ写真 16
勉強会スライドのイメージ写真 18
勉強会スライドのイメージ写真 24
勉強会スライドのイメージ写真 25
勉強会スライドのイメージ写真 26

この研究で示されたように、歯周治療やクリーニングがどのように循環器疾患に影響するのかは現時点では解明されていませんが、一定の関連が示唆される報告もあります。

健康的な生活を送るための一つの要素として、歯周病専門医による定期的な口腔ケアを取り入れてみることも有用かもしれません。

目黒区、世田谷区、大田区、東横線・大井町線・田園都市線沿線にお住まいの方で歯周病治療に関してお悩みの方は、自由が丘駅から徒歩3分の歯周病専門医までお気軽にご相談ください。

関連するブログ記事

専門医による歯周病治療