食事由来の一時的な口臭は時間とともに軽減しますが、慢性的に続く口臭には、 お口の中の細菌が関与している場合があります。今回は、米国歯周病学会通信 "This Week in Perio- 2011/2/23"で紹介された見解をもとに、口臭の原因と 日常でできる対策について解説します。
食事性の口臭と慢性的な口臭の違い
にんにくや香辛料を多く含む食事をした後、歯磨きをしても臭いが残った経験は誰しもあると思います。 こうした食事由来の一時的な口臭は、およそ24時間ほど経てば自然に改善する場合が多いとされています。
一方で、時間が経っても改善しない慢性的な口臭には、お口の中に長期間とどまる細菌が関与している可能性があります。
お口の中に潜む細菌と口臭の関係
米国 Tufts 大学の James Hanley 先生は、慢性的な口臭の背景にはお口の中に生息する細菌が関係することがあると述べています。
口腔内には多くの細菌が存在し、歯の溝・歯ぐき・舌の表面などに付着します。 これらの細菌は食べ物の残りを栄養源にし、その代謝の過程で臭いの元となる揮発性硫黄化合物を生じることがあります。
また、口臭のある方の口腔内から特定の細菌が多く検出されたという報告もあり、 長期間の細菌蓄積が歯と歯ぐきの間に汚れのポケット(歯周ポケット)を形成し、 慢性的な口臭と関連する可能性が指摘されています。
日常で取り組める口臭対策
1. 舌の清掃を含めた丁寧な歯磨き
Hanley 先生は、「1日に一度、舌を含めた丁寧なブラッシングが重要」と述べています。 舌の表面には多くの細菌が付着するため、舌ブラシなどを使った舌清掃は効果的とされています。
2. フロスは歯ブラシと併用して使う
デンタルフロスは、歯ブラシが届かない歯と歯の間の汚れを取り除く補助的器具です。 フロス単独では十分な対策にならないため、 歯ブラシ → 舌清掃 → フロス の順に使用すると清掃効果を高めることができます。
3. マウスウォッシュは補助的に
デンタルリンス(マウスウォッシュ)は補助的に使用できますが、 口臭の主原因であるプラーク(細菌のかたまり)を除くには、歯ブラシによる物理的清掃が最も重要とされています。
セルフケアで改善しない場合は?
ていねいなセルフケアを継続しても口臭が気になる場合は、 歯科医院で虫歯や歯周病のチェックを受けることをおすすめします。
また、口腔以外が原因となる口臭も一部存在し、耳鼻咽喉科などでの相談が有効なケースもあります。 例えば、蓄膿症、鼻腔や扁桃の炎症、糖尿病などが関連することも報告されています。



