自由が丘の歯医者ブログ

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咬み合わせ治療でこころがけていること|自由が丘の歯科医による可逆的アプローチ2012.07.22

咬み合わせ(咬合)に関するご相談は多く、治療の進め方によっては長期的な影響を及ぼす場合があります。適切な診断と、状態に応じた段階的な治療が重要です。

医療関係の弁護士の方から伺った話では、近年の歯科医療トラブルの中には、インプラント治療や咬み合わせ治療に関するものが見られるとのことです。治療選択に際して慎重な判断が求められる分野と言えるでしょう。

私は1994年、咬み合わせ(噛みあわせ)治療の研究で知られた保母須弥也先生のもとで1年間研修を受けました。研修の終わりに保母先生は、

「顎関節を意識した大まかな治療指針はあるが、咬合治療には科学的に明確な"正解"はまだ見つかっていない」

と明言されました。

そのうえで先生が強調されたのは、

「咬み合わせ治療は、いつでも初診の状態に戻すことができる"可逆的な治療"が基本である」

ということでした。

欧米の歯科文献を見ても、歯を削るような咬み合わせ治療は標準的ではなく、可逆的アプローチが一般的です。(注:科学的根拠の乏しい咬合研究は欧米で縮小傾向とされています。)

また、過去には「咬合」という言葉が学会名に含まれていたことで、海外の講師から講演を断られた事例があり、「臨床医の集う会」という名称に変更した経緯もあったと聞きます。それだけ欧米では慎重に扱われている分野と言えるでしょう。

咬み合わせ分析に用いる器具の例

保母先生から咬合治療の限界を教わって以降、当院では「歯を削らない可逆的な咬合治療」を基本方針としています。その結果、20年以上の臨床において咬合に起因する大きなトラブルはありません。

顎関節症についても、咬み合わせとの関連は科学的に明確ではありません。現在の国際的な基準においては、咬合と顎関節症を結びつける強い根拠は認められておらず、当院では ADA(American Dental Association)の推奨に基づき、可逆的で負担の少ないアプローチを行っています。

ADA参考資料:

Facial Pain(TMJ/TMD)|American Dental Association