自由が丘の歯医者ブログ

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科学的な歯科治療 (part 5)2010.09.20

商業ベース論文に惑わされないよう、しっかりと論文を吟味するとは?


単に英論文を引用することがEBMでは無い事は、前述のとおりです。

またしっかりと論文を吟味して患者さんへフィードバックする事の重要性は、皆さん既知のことでしょう。ではなぜ論文を吟味せねばならないのだろうか?

世の中には民間療法レベルの論文から大規模な集団追跡研究まで多種多様な論文が存在し、選択するテーマによっては、これら幅広い内容の論文が抽出されるのは決して珍しいことでは無いからです。

論文に慣れる事を目的に、自分の興味を満たしてくれる論文を読むのは悪いことでは無くむしろ推奨される事ですが、今回のテーマのようにEBMに用いる論文を選択するとなると、やはり論文を吟味する事は重要になります。

そこで論文を吟味する方法を模索しなければなりませんが、そこで一般的に参考にされているのは、JAMA「診療ガイドのガイドライン」です。

そこには「捨てる」という思想が記載されています。

研究方法が間違っていると、結果は真実を反映しておらず、研究手法(Material&Method)についてのチェックで合格しない論文はそれ以上読まずとも良い。

たとえ研究手法(Material&Method)が正しくても、その結果(Outcome)が正しく解釈されていなければ、論文としての価値は低いのでそれ以上読まずとも良い。

さらに結果(Outcome)が正しく解釈されていたとしても、EBMの見解から見て、診療に役立たない論文は手間暇かけても読む意味が無い。

いかがですか?

診療ガイドラインが適切に作成され、内容が合理的で、その結果が疑問点を定式化した自分の臨床に反映されている論文のみがEBMとして採用されるとあります。

EBM には常に批判的吟味が必須であり、万全な考えを持って患者治療にあたる事が重要なのです。

ただし批判的吟味力を養う為には、数多くの論文に目を通すことも必要にはなってきます。

論文を読むことは決して容易な事ではありませんが、有意義な論文は必ずや目の前の臨床に対しての答えを提示してくれます。術者と患者双方にとってこれほど素晴しいツールはありません。

インターネットが普及した今、早速今日から1週間に1本の論文を読んで見てください。

そしてその継続を全うできた時、飛躍的な臨床力を手にすることでしょう。