自由が丘の歯医者ブログ
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科学的な歯科治療 (part 2)2010.09.11
なぜ、臨床上の疑問を明らかにする必要性があるのか?
大学での専門教育で使用する教科書、ならびに国家試験における臨床問題などにおいては、確定診断に結びつく明確な臨床症状が提示されるので、ついつい明確な症状を追いがちになってしまうが、臨床症状の形態は実に様々であり、確定診断における臨床症状の収集は、多岐にわたり模索せねばならないのです。
そこには実に多くの臨床上の疑問が浮かび上がってきます。
Sackettらは、その臨床上の疑問をForeground QuestionとBackground Questionの2つに分類されると述べています。
今、先生の目の前に歯周病患者さんが来院されているとしましょう。
「目の前にいらっしゃる歯周病患者さんにどのように治療をするべきだろうか?」
と言った個別アプローチの疑問がForeground Questionに相当し、
「様々な病態を持つ歯周病の一般的な分類基準は、どのように決まっているのだろうか?」
と言った疑問がBackground Questionに相当すると言っています。
EBMにおける疑問はまさにこの二つのQuestionsであり、診断や治療法を説くことではありません。
EBMで実践すべき事は、目の前にある具体的な個別の治療なのです。
講演会などで、高名な先生の症例ケースで提示された治療法やReferencesを聞いて、臨床にフィードバックしたところ、思うように成果があがらなかった経験ってありませんか?
別の患者さんによる別の先生の治療を目の前の患者さんに実践したところで、EBMとしては機能しないのです。
講演会へのアプローチとは別に、臨床に論文をフィードバックする習慣を始めませんか?
そこで、臨床上の疑問を考える際に考慮すべき問題を下記に列記します。
頻度,異常,原因,診断,予後,リスク,治療,予防,コスト
これらを考慮して患者さんの臨床に携わることがEBM実践のはじめの1歩となるでしょう。