歯科医療の世界では、近年「商業主義的な歯科医院(Commercial Dentist)」と「倫理性を重視する歯科医師(Ethical Dentist)」という対比が語られることが増えてきました。歯科医院の情報をインターネットで簡単に取得できる時代だからこそ、患者さんにとって"どのような価値観で診療している医院なのか"を理解することは重要です。
このテーマは、かつて歯科出版社が発行した「歯科臨床英会話」の中にあるトピックをもとに紹介されたものですが、現代の歯科医療を考える上でも大きな示唆があります。
歯科広告の歴史|商業主義から倫理性へ
記事によると、オーストラリアで確認できる最初の歯科医師の記録は 1818 年の新聞広告だったそうです。しかし、1900 年頃には、歯科医師会によって大きな看板や新聞広告は禁止されるようになりました。
その理由は明確で、
歯科医師は"商品"ではなく、専門的な技術と知識を提供する職業であるべき
という考えが社会に根付いていたためです。
評判が良ければ、広告をしなくても自然と患者さんが集まる。そんな価値観が、当時の歯科医療にはあったのです。
現代の歯科医療と広告規制の変化
現在では広告に関する規制が緩和され、ホームページも情報提供の一つとして一般化しました。それにより、専門性とは無関係に過剰な訴求が行われるケースも増えています。

海外でも同様の傾向はありますが、今でも欧米の多くの歯科医院では、医院の入口に小さく "D.D.S" とだけ掲示しているシンプルなスタイルが見られます。
それは、不必要な宣伝よりも、誠実な診療姿勢で信頼を積み上げるべきという考え方が根強く残っているためです。
Ethical Dentist であり続けることの難しさと価値
日本では「歯科医院がコンビニの数を超えた」と言われるほど医院数が多く、患者さんが歯科医院を選ぶ基準も多様化しています。そのため、歯科医院側も経営努力が求められる時代になっています。
しかし、どんな時代であっても、
"過度な宣伝に頼らず、患者さんの利益を第一に考える" という姿勢は変わるべきではありません。
Ethical Dentist を貫くことは決して簡単ではありません。それでも、患者さんの笑顔や感謝の言葉に支えられながら、誠実な診療姿勢を持ち続ける歯科医師もいます。
歯科医療の本質はあくまで「患者さんの健康を守ること」。その視点こそが、Ethical Dentist の根幹なのです。
まとめ|信頼できる歯科医院を選ぶために
- 過度な宣伝よりも、診療姿勢や説明の丁寧さを重視しているか
- 患者さんの利益を第一に考えた治療選択をしているか
- 科学的根拠に基づいた説明が行われているか
- 不安や疑問に対して誠実に対応してくれるか
こうした点は、患者さんが歯科医院を選ぶ際の大切な判断材料になります。
Commercial Dentist と Ethical Dentist の違いを知ることは、より安心して治療を受けるための一助となるでしょう。



