自由が丘の歯医者ブログ

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ブーゲンビリアの花の鉢2011.06.14

診療前の準備をしていたところに、Hさんがブーゲンビリアの花の鉢を持参して訪ねていらっしゃいました。

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「いままで大変お世話になりました。今日この町から離れるので、この花を先生の所の花壇に置かせてもらっても構いませんか?」
Hさんは50年前にこの辺りの地主さんに嫁がれたのですが、ご主人が他界された後、ビルを手放されたうえにガンまでも患ったそうですが、持ち前の精神力で、神宮前3丁目のお店をひとりで、きりもみし朝から晩まで一生懸命仕事をされたそうです。
そんな50年を過ごしたこの町の楽しい思い出も哀しい思い出も、綺麗さっぱりこの町に残して、故郷に戻られるとの事でした。
「入れ歯の治療もありますし、歯の治療だけはここに通って来ますから!それまで先生も頑張って居てくださいね!」
といつもの笑顔で故郷の山形へと向かわれました。
歯の治療が必要なわけでも無いのに、ふらっと立ち寄っていかれる患者さんが、少なくないこの診療室ですが、昔ながらの気さくな患者さんがまた一人この町を離れていきました・・
残されたブーゲンビリアの花の鉢に、Hさんが降り注いだ愛情を感じました。
人間らしく住む事もままならない大都会の片隅では、育てる花に人は励まされるのでしょう。
人と人、人と生物、生き物と自然。
せめて一緒に過ごせる時間ぐらいはと、人様に心地良さを提供出来ればと思って生きています。