近年の歯科医療では、インプラント中心の時代から、より精密な治療を実現するマイクロスコープ（歯科用顕微鏡）を用いた精密歯科治療へと関心が高まっています。当院でも診断精度の向上と治療品質の安定を目的に、マイクロスコープを導入しました。
「拡大視野下で行う精密歯科治療」という言葉をよく耳にしますが、その実力を自分の手で確かめたいという思いから、複数メーカーの機種を比較しながら検討を進めました。
これまでは2.5〜4.3倍のルーペを愛用して診療していましたが、より細部を確認できるツールがあれば治療の質をさらに高められると考え、各メーカーに問い合わせ、実際にデモ機を触りながら比較しました。
最初に試したのは、医科分野でも高い信頼を得ているカールツァイスのマイクロスコープです。診療台に模型を置いてスコープを覗くと、細部まで立体的に見える大きな歯が視界いっぱいに広がり、その精密さに思わず感動しました。
模型での練習後、実際の診療で使用してみると、肉眼では確認できない細部まで観察でき、治療の理解度と精度が大きく向上するのを実感しました。
ただし、拡大視野は「よく見える」一方で視野が狭くなるため、患者さんの舌・頬粘膜・唾液のコントロールなど、お口全体の状況を常に把握する必要があります。倍率を上げるほど視野は狭まり、少しの動きでも視界から外れてしまいます。
車の運転に例えると、裸眼での治療が「10車線の高速道路」だとすれば、マイクロスコープの高倍率視野は「1車線の高速道路」を走っているようなものです。精度は高まりますが、より慎重で繊細な操作が必要になります。
そのため、実際の治療ではルーペと同様の2.5〜3.0倍が、安全性と操作性の面からもっとも現実的で使いやすい倍率だと感じています。
高倍率が特に有効なのは、ラバーダムを使用する根管治療（歯の神経の治療）や、細部の確認が求められるダイレクトボンディングなどです。また、マイクロスコープは精密診断や確認作業を高いレベルで行える点に強みがあります。
そのため、「マイクロスコープがあるから特別な治療ができる」というよりは、正確な診断を支えるための大切なツールという位置づけが適切だと考えています。
その後も国内で流通しているほとんどの歯科用マイクロスコープを試し、最終的に選んだのは、アメリカの歯内療法医や歯周病専門医から高い評価を受けているGlobal（グローバル）社のモデルでした。
今後は診療内容を問わず、必要に応じてマイクロスコープを積極的に活用していく予定です。マイクロスコープを用いた精密歯科治療に関心のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
目黒区・世田谷区・大田区、東横線・大井町線・田園都市線沿線で「精密歯科治療」「マイクロスコープ治療」「歯を残す治療」でお悩みの方へ。
自由が丘駅から徒歩3分、歯周病専門医が診療しています。症状やお悩みについて、お気軽にご相談ください。
