自由が丘の歯医者 Q&A
Q&A
「歯周病は全身の病気の原因になる」「歯周病は万病の元」という言葉を耳にすることがあります。ここでは、現在の医学・歯学の科学的根拠に基づき、歯周病と全身の健康との関係について、正しく解説します。
歯周病は必ずかかるわけではありません。歯周病の多くは、原因であるプラークや歯石を日頃の歯磨きで防ぐことが基本であり、また定期的な歯科検診などを受けた際にプラークや歯石を除去することで歯周病を予防することができます。
予防が難しい歯周病は、今のところ遺伝性の病気など非常に特殊な場合に限られると言われています。
プラークとは、歯に付着している白色、または黄白色の粘着性の沈着物です。その中身は常に多くの細菌とその産生物から構成されています。
またプラークはバイオフィルムとも呼ばれ、強固に歯へ付着しており薬剤などでは除去しにくい状態になっているため、歯ブラシ等で機械的にしっかりと除去することが大切です。
現在の医学研究では、歯周病が他の全身疾患を直接「引き起こす」と証明された病気はありません。
歯周病と心臓病、糖尿病、脳血管疾患などの間に「関連がある」と報告した研究は多数存在しますが、それらは主に統計的な関連(相関)を示したものであり、因果関係を証明したものではありません。
「関連がある」というのは、同じ人に同時に起こりやすい傾向があるという意味です。
一方で、「原因になる」とは、その病気がなければ他の病気が起こらなかった、という因果関係が明確に証明されている場合に使われます。
歯周病と全身疾患の関係については、現在の研究では因果関係までは証明されていません。
歯ぐき(歯肉)は毛細血管が豊富なため、炎症が起きると出血しやすい組織です。加えて、お口の中は体の中でも特に多くの細菌が存在する場所でもあります。
歯周病になるとこれらの特徴によって、口腔内の細菌や炎症性物質が血液を介して全身に影響を及ぼす可能性があるのではと考えられています。
近年の研究では、呼吸器系疾患、心疾患、糖尿病、妊娠期の合併症など、さまざまな全身の状態と歯周病との関連が指摘されていますが、なかでも糖尿病との関連は深く、歯周病が糖尿病を悪化させる一因となる可能性があるとされています。
その理由として、共通する生活習慣やリスク因子が挙げられます。
これらの因子は、歯周病にも全身の病気にも影響を与えるため、「歯周病のある人は他の病気も起こりやすい」という結果になりやすいのです。
遺伝性の病気、血液の病気(白血病など)、皮膚の病気、降圧剤を含む特定の薬の影響によって、歯肉を含めた歯の周囲組織にさまざまな症状が出ることがあります。また、ホルモンの分泌の増減、糖尿病、喫煙などは歯周病の治りを悪くすることもあります。
喫煙が歯周病に悪影響を及ぼす理由についていくつかの報告があります。
①統計的に、喫煙する人は喫煙しない人よりも歯周病にかかりやすいというデータがあります。
②タバコに含まれる化学物質が歯肉からの出血を抑えたり歯肉を硬くすることで、症状に気づきにくくなります。
③喫煙者は末梢血への影響があるため、歯周病の治り方が悪くなります。
喫煙は歯周病になりやすくするだけでなく、罹患に気づきにくくし、治りにくくする原因といえるのです。
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歯周治療によって、炎症に関連する血液検査の数値が一時的に改善することがあると言われています。
しかし、歯周病を治療することによって、心筋梗塞や脳卒中などの全身疾患が予防・治療できると証明された研究はありません。
現在のところ、歯周治療は「お口の健康を守るための重要な治療」であると位置づけられています。
この表現は、歯周病の重要性を分かりやすく伝えるために使われることがありますが、医学的に正確な表現とは言えません。
歯周病は全身の病気の「原因」と断定できるものではなく、あくまで生活習慣や健康状態を考える上での一つの指標と考えるのが適切です。
当院では、科学的な根拠に基づくことで、不安を煽る説明や断定的な表現は行うことはありません。
これらの考えに基づいて、患者さん一人ひとりに合った説明と治療を心がけています。