自由が丘の歯医者コラム
自由が丘の歯医者コラム
歯科医院のホームページなどで、「マイクロスコープ」という言葉は今や日常的です。
マイクロスコープとは、治療する部分を拡大して見ることのできる歯科用の顕微鏡であることはすでにご存知かと思います。
では、マイクロスコープを使うと、実際の歯科治療は何が変わるのでしょうか。
「細かいところまで見えるので、より精密な治療ができる」という説明はよくあります。しかし、私が2013年からマイクロスコープを臨床で使い続けてきて感じているメリットは、単に「大きく見える」ということだけではありません。
見えることで、治療中の判断が変わる。
私はこれが、マイクロスコープを使う大きな意味だと考えています。
歯科治療では、歯を削ったり、むし歯を取り除いたり、詰め物をしたりと、非常に細かな作業を行います。
もちろん、マイクロスコープを使わなくても歯科治療はできます。歯科医師は照明やミラーなどを使って、治療する場所を確認しながら処置を行っています。
しかし、口の中には肉眼では確認しにくい場所がたくさんあるのも事実です。
歯には細かな溝、歯と歯の境目、小さな歯の奥にある削った部分の状態確認、詰め物と歯の境目などなどです。
マイクロスコープを使用することで、治療する部分を拡大することが出来、さらには強い光を当てながら隅々まで観察することができます。
そのため、
といったことを、拡大視野で確認しながら治療が可能になるのです。
つまり、マイクロスコープの特徴は、単に「よく見える」ことではありません。
見ながら治療できること。
そして、治療した結果をもう一度確認できること。
ここに大きな意味があります。
歯科治療では、ただ器具を動かして作業をすればよいわけではありません。
治療している場所を見て、状態を判断し、その判断に応じて次の操作を決める必要があります。
例えば、むし歯を削る場合を考えてみます。
まず、どこにむし歯があるのかを確認します。そして、現時点での治療介入が望ましいか否かの判断をして、治療が必要であれば、必要な部分だけ効率的に削ります。また削った後は、その削った部分に虫歯の取り残しがないか?またどのような状況になっているかを確認します。
そこでさらなる処置が必要だと判断すれば、追加して処置を行います。
このように歯科治療は、
「見る」→「判断する」→「処置する」→「確認する」
という作業の繰り返しを丁寧に行なっているです。
マイクロスコープを使うことは、この一連の作業を拡大視野で的確に行いやすくなります。
私自身、長年マイクロスコープを使って診療していると、肉眼で治療していた場合に比べて、治療中の迷いや無駄な操作が少なくなったと感じています。
これが、私が考えるマイクロスコープの本当のメリットです。
「細かいところまで拡大して治療するなら、治療時間も長くなるのではないか」と思われる方もいるかもしれません。
確かに、拡大視野で細かな処置を行うため、時間をかけた方がよい治療もあります。
しかし、マイクロスコープを使えば、すべての治療が長くなるというわけではありません。
むしろ私自身の12年間の臨床経験では、マイクロスコープを使うことで、肉眼で行うより効率的に治療できると感じる場面があります。
その理由は、「よく見えるからこそ、迷わず処置できる」からです。
どこを削る必要があるのかを確認し、必要な部分を処置し、処置した状態をその場で確認する。
見えにくい状態で何度も器具を動かして確認するよりも、最初から拡大して確認できることで、結果として無駄な操作を減らせる場合があります。
もちろん、すべての治療が短時間になるわけではありません。
重要なのは、「精密な治療だから時間がかかる」のではなく、「見えることで治療そのものが効率化する場合もある」ということです。
マイクロスコープの説明では、「歯をきれいに削ることができる」と紹介されることがあります。
しかし、「きれいに削る」という言葉は少し注意が必要だと思います。
歯科治療の目的は、単純に歯を削ることではありません。
必要な部分を判断し、その部分を適切に処置することです。
マイクロスコープを使えば、削っている部分を拡大して確認できます。そして、削り終わった後の状態も確認できます。
つまり、
どこを削るのかを見て、削っているところを見て、削った後も見る。
この一連の確認ができることに意味があります。
「できるだけ削らない」ということだけを目標にするのではなく、必要な処置を適切に行い、その結果を確認する。
私はこの考え方が大切だと思っています。
むし歯の治療でも、マイクロスコープは役立ちます。
むし歯を除去する場合、削ることだけが治療ではありません。
どこまでむし歯を除去したのか、処置した部分がどのような状態になっているのかを確認することも重要です。
マイクロスコープでは、こうした治療部位を拡大して観察できます。
ただし、マイクロスコープを使用すれば、すべてのむし歯を発見できたり、むし歯の取り残しが絶対になくなったりするわけではありません。
むし歯の診断には、視診だけでなく、レントゲン検査や症状、歯の状態など、さまざまな情報を総合して判断する必要があります。
そのうえで、実際に治療している部分を拡大して確認できることが、マイクロスコープのメリットです。
マイクロスコープは、歯を削るときだけに使うものではありません。
削った後に詰め物をする場合にも、拡大視野で確認することができます。
歯科治療では、「削るところ」だけを見ていればよいわけではありません。
処置を終えた後、その状態がどうなっているのかを見ることも大切です。
詰め物についても、必要な場所に材料が入っているか、余分な材料が残っていないかなどを拡大して確認しやすくなります。
削るところを見るだけではなく、削った後、詰めた後も確認する。
この考え方が、マイクロスコープを日常診療で使う理由の一つです。
ここも患者さんには知っておいていただきたいところです。
マイクロスコープは、あくまでも治療を行うための道具です。
拡大して見えるから、それだけで良い治療ができるわけではありません。
どこを見るのか。
何を確認するのか。
見えたものをどう判断するのか。
そして、その状態に対してどのような処置をするのか。
こうした判断には、歯科医師の知識や経験が必要です。
また、マイクロスコープを使って治療するためには、拡大された視野の中で器具を操作する技術も必要になります。
そのため、マイクロスコープは「設備があるかどうか」だけでなく、実際の診療でどのように使われているかも重要だと私は考えています。
正直にお伝えすると、マイクロスコープという機材を使うこと自体が治療結果を直接的に良くする、という明確なエビデンスは今のところ確立されていません。治療の結果は、機材の有無以上に、それを扱う歯科医師の技術や経験による個人差の影響を受けます。マイクロスコープは、あくまで「見える」ための機材であり、良い治療結果を保証するものではないという点は、誤解のないようお伝えしておきたいと思います。
当院では2013年からマイクロスコープを臨床導入しています。
そして、特定の自費診療だけに使用するのではなく、保険診療を含め、すべての治療で毎回マイクロスコープを使用しています。
これは、マイクロスコープを「特別な治療のための設備」と考えていないからです。
日々の歯科診療では、小さなむし歯の処置から詰め物、被せ物、歯周病の治療まで、さまざまな処置を行います。
その一つひとつを拡大視野で確認しながら治療する。
それを毎日の診療で繰り返すことで、マイクロスコープを使うこと自体が特別なことではなくなります。
2013年から12年間、日常診療の中で使い続けてきたからこそ、私が強く感じるのが、「見えることによって治療の判断が変わる」ということです。
マイクロスコープというと、「歯を何倍にも拡大して見る機械」というイメージがあると思います。
もちろん、それはマイクロスコープの大きな特徴です。
しかし、12年間使い続けてきた私が感じる本当のメリットは、その先にあります。
見えるから、判断できる。
判断できるから、必要な処置を選択できる。
そして、処置した結果をもう一度確認できる。
この繰り返しによって、治療中の無駄な操作を減らし、結果として治療を効率的に進められる場合があります。
マイクロスコープだから必ず治療が早くなるわけでも、必ず歯を削る量が少なくなるわけでもありません。
しかし、治療する場所が見えることで、何をするべきかを判断しやすくなり、その結果を確認しながら次の処置へ進める。
私は、ここにマイクロスコープを日常診療で使用する大きな意味があると考えています。
マイクロスコープのメリットは、単に歯を大きく見られることではありません。
治療する場所を拡大して確認できることで、
といったことが可能になります。
そして、その積み重ねが治療の効率にもつながります。
当院では2013年からマイクロスコープを臨床導入し、保険診療を含めたすべての治療で毎回使用してきました。
マイクロスコープは、特別な自費治療だけに使うためのものではなく、日々の歯科治療を「見える状態」で行うための道具だと考えています。
歯科治療で大切なのは、単に「どれだけ大きく見えるか」ではありません。
見えた情報を、どのように治療の判断に生かすのか。
そこに、マイクロスコープを毎日の診療で使い続ける意味があると考えています。
(関連ブログ: マイクロスコープを使った精密な歯科治療とは?)