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歯周病治療におけるメインテナンス治療の役割

2011.02.11 |

数ある歯周病治療の中でも一番重要な治療は、意外にも定期的なお掃除なんです!!

定期的な歯のクリーニングは歯周病 (歯槽膿漏)治療の結果を維持する上で大変重要な役割を担っているからです。

プロービング、レントゲン撮影、診断、歯周病タイプの選別、治療計画、スケーリング、洗浄、歯周外科、処方、再評価、歯周メインテナンスと言った様々な治療オプションや要因が歯周病 (歯槽膿漏)治療には含まれています。

より良い臨床結果を得るためには、その治療オプションを色々と組み合わせた治療が必要です。

せっかく治療した歯周病ですが炎症が再発しやすいため、長期に渉る治療の成功を保つには歯周メインテナンス治療が非常に大切なるのです。

そもそも歯周病 (歯槽膿漏)治療は慢性疾患であり、完治することの無い細菌感染です。

ですから継続した治療が必要なのです。我々歯科医師によって症状の改善を得たところで、それは患者さんの症状が癒えた状態であって、完治しているわけではありません。

我々が歯周病治療に最善をつくしたところで、患者さんの歯周病 (歯槽膿漏)はけっして完治するのでは無く、あくまでも症状が緩解するだけなのです。

治らないと聞くと非常に落胆しますが、歯周病だけが特別なわけでもなんでもありません。

病態の観点から歯周病 (歯槽膿漏)は、糖尿病や高血圧などの疾患にとても似ていると言われています。

これらの病気は炎症性の疾患ではなく、完治することが無い慢性の疾患ですが、歯周病 (歯槽膿漏)のようにコントロールが可能な病気であることはみなさんご存知のとおりです。

糖尿病や高血圧の方が医科を受診するように、歯周病患者さんは歯周メインテナンス治療を受ける為には生涯に亘って3ヶ月毎に受診することが望ましいでしょう。

生涯という言葉の定義は歯が存在する限りという意味でです。

また3ヶ月という数字は適当に決めた期間というわけでもありません。

と言いますのも、バイオフィルムが形成される初期の細菌コロニーは病原とはならず歯周疾患 (歯槽膿漏)を引き起こすことはありません。ところが歯磨きの不良などの原因によって、このバイオフィルムが除去や解体されていない時には、歯周病原体がバイオフィルム上に形成されます。

歯周病原体を含んだバイオフィルムは,3から12週に渉って形成され成熟するので、その12週目が3ヵ月目というわけなのです。

よって我々は病原体を排除するために、バイオフィルムの発達の時期に併せた細菌学的な根拠として、3ヵ月毎のメインテナンスを提供しているのです。

糖尿病や高血圧疾患を持つ方は、普段から薬物(インシュリン)を飲み続けたり、食事制限をしたり、運動などによって病気をコントロールしています。しかし、コントロールを怠った瞬間に、落ち着いていた症状と兆候は元に戻り、身体は潜在的に悪化の傾向をたどってしまうのです。

歯周病 (歯槽膿漏)も一緒です。病気を治すために、外科療法や非外科療法、レーザー治療、化学療法やその他の治療法を施したとしても、治療では治癒しません。

一度きりの病気では無いために、継続的な治療が必要になるのです。

適正なホームケアとメインテナンスの両方が確立しない場合には、せっかく沈静化していた歯周病 (歯槽膿漏)の徴候と症状が元に戻ってしまい、悪化の道をたどってしまうのです。

毎日のホームケアは細菌の蓄積を防ぐ効果的な治療で、歯周病メインテナンス治療はホームケアで行き届かない部位のバイオフィルムを除去すると言う専門的な治療にあたるのです。

どの病気でもそうなのですが、遺伝的な要因で歯周病 (歯槽膿漏)になっている患者さんがいます。

癌を発達させる遺伝子を持っていないがために、40年もの間ノンフィルターの煙草を吸いながらも癌に罹患しない人も見受けます。それは癌になりやすい遺伝子を有していないからとも言われています。

歯科医師は効果的な歯周病 (歯槽膿漏)治療を提供できますが、遺伝子工学までは持ち合わせていいないため、遺伝的に歯周病 (歯槽膿漏)に罹患しやすい患者さんを治癒させる事は残念ながら今現在まで出来ていません。よって遺伝的な因子と多量の歯周病原菌によって、再び歯周病 (歯槽膿漏)が再発してしまうのです。

これが歯周病 (歯槽膿漏)が治癒しないと言う理論です。

もしもType 1糖尿病 患者がインシュリンを摂取せずに、過度の炭水化物を消費するならば、高血糖や糖尿病性の合併症が誘発される危険性が常に高まり、メインテナンスが必要条件となるのですが、同じように歯周病 (歯槽膿漏)を診断する上においても、これらの患者用件の認識がとても重要となります。

そのような重要性とは裏腹に患者さんは、「歯茎を綺麗にするには何回かかりますか?」と言う通院回数を気にされる方がほとんどですから、「回数は患者さん次第ですよ。お家での歯のケアこそが治療の成功をにぎっています。」と患者さんとの良好なパートナーシップが、その後の効果的なホームケアや3ヶ月に一度のメインテナンスに応じる基盤を作る上で重要になります。

歯科医と患者さんの間には認識の差が常に存在します。

歯科医サイドは診断と処置に価値を求め、患者サイドはより良い治療結果が維持できることに価値を求めます。そう言った相互の価値観を認識することは大切でしょう。

患者さんの協力なしには、決して長期の良好な成果をあげることは出来ません。

適切かつ、効果的な治療は病気の解消を成し遂げますが、その後の適切なメインテナンスとホームケアが、良好な結果を恒久化していくのです。

でなければ、歯周病 (歯槽膿漏)はいつでも再発してしまいます。

適切なメインテナンスを受けていない患者は受けている患者に比べて2から3倍もの歯を失い、より多くの治療を必要とすると言った報告もあります。

成功する歯周病治療を提供する際に、我々は患者さんの医科的、歯科的既往歴と家族歴、臨床症状、リスク因子、根底にある生物学的プロセスなどの情報に対し、かなり注意を払います。

繰り返しますが、長期に渉る良好な結果を得るための適切な歯周病メインテナンス治療とは、生涯に渉り3ヵ月毎にメインテナンスを受けると言うシンプルなものなのです。

つまり歯周病メインテナンス治療こそが、歯周病 (歯槽膿漏)治療の全てなのです。


(2011/2/09 米国 歯周病 学会通信"This week in perio"よりDental Economics に掲載されたDr.Richard H. Nagelbergの記事からの改引)

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